劇画家三部作 

8月9日(日)
午後4時前、阪急十三駅から栄町商店街に向かう。

なんとなく雑多なイメージのある十三という街なのだが、
ぶらりと歩いてみると商店街は閑散としており、
なんか広々と開放感があった。
(後で聞くと、前日の花火大会のために商店街の放置自転車などを
 根こそぎ撤去した後だったからだとか)

今回、ここ十三にあるシアターセブンにて、
顔画工房制作の「劇画家三部作」が上映されるというので
これは見ておかねばと、ネット予約をしたのだ。

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今日8月9日は、第1作目に当たる「劇画家殺し!」の上映。

上映会の前には、ゲストライブということで野崎ハウスさんの演奏。
アコーディオンと弦楽器の音が懐かしい雰囲気を奏で、
今回の映画の時代背景と重なり合っていく。

映像を見ながら撮影をされていた5年前のことを思い出す。

こちらの作品には監督のT山先生のご厚意により、
MとOでまんが道の足塚茂道役で出演もさせてもらった。

以前に見たバージョンからずいぶんと構成も変わっていて、
とても新鮮な気持ちで楽しく見ることができた。
ここまで仕上げるのに、大変な苦労があったんじゃないかなと思う。

次回の9月5日の上映会では、第2・第3作目を上映とのこと。
こちらもネット配信されていたシリーズもあるものの、
劇場用に再編集されていると思うので、また楽しみ。

敬礼

待ち合わせ場所の阪急十三駅東口でOを待つM。
時刻は13時50分。

駅前には小さな花壇を設けた憩いのスペースがあって
自分と同じように誰かと待ち合わせをしている人達がポツリポツリといたので
Mも、その雰囲気にとりあえず溶け込んでみる。

鳩が一羽どこからともなく飛んできて、地面に転がっていたKンタッキーフライドチキン的な
食べカスの骨を、懸命につっついていた。

55分頃に、キョロキョロしながら相変わらず冴えない風貌のOが改札を抜けて近づいてきた。

「 よう、Oさん今日は遅刻せんかったようやね、いや、でも私十三なんて 
  長年大阪に住んでいながら初めて降りましたわ 」

「 ホンマやね僕も、、、おっ、鳩が、、、 」

 改札の方を眺めながら暫らくムッツリOと世間話を交わしていると
 後方からT山センセとM平さん登場。
 T山センセはカメラに三脚、そして右手に真っ赤なカラーバットを握り締めていた。

「 あっ、T山センセ、M平さんどうも、
  てっきり改札から出てこられるもんだと思っていたんで、、、
  ところで何ですかそのカラーバット、何かそういうの一本持ってるとこう、
  何ていうか『監督』っていう感じしますねメガホン的な、、 」

「 おう、そう思うかい?M君
  でもコレは小道具で使ったバットですわ
  さっきな、M平のシーン撮ってきたんや、テラさんの素振りのシーンや 」

「 はぁ~ナルホド~、今日も午前中から撮影あったんですね、お疲れ様です 」

「 イヤイヤ、コッチこそいつも山坂の2人には無理言うて悪いなぁ~ 
  おっ、鳩がケンタッキーつついとんで、共食いやがな!!
  、、、じゃ、行きましょか 」

先週の撮影は非常に厳しい寒さの中決行されたが
今日は、『えっ!?先週の寒さが嘘みたい!!』という感じのポカポカ陽気。
大阪も今日は昼間、3月中旬ぐらいの気温まで上がっているということだ。
外での撮影も、日なたにいると、ぬくかった。

今日は主に、M平さんの撮影。
MとOは撮影の裏方として参加していたので、監督T山センセと
M平さんのやりとりを傍で見学させてもらった。

お2人は学生時代、落研の先輩後輩のご関係。
先輩に当たるT山センセは、後輩のM平さんを一見雑に扱っているようだが
時々垣間見せるやさしさは流石で、M平さんもT山センセを信頼して、気の入った
演技を繰り広げていた。いい関係だなぁと思う。



十三駅から商店街のアーケードを抜けた処にある神津神社での撮影をサクッと終えて
テクテクと歩きながら次の撮影場所へ。
少し駅を離れただけで、くたびれた感じのする長屋等が立ち並ぶ雰囲気のある住宅街へ突入。
先週、野田阪神を訪れた時も感じたが、自分の住んでいない町を歩くのは楽しい。
T山センセがセレクトするロケーションはどれも色っぽくて、うっとりしてしまう。


住宅街でのM平さんの撮影も無事終了。
その後、十三にあるT山センセの事務所(別荘)へお邪魔させてもらう。
初めてお邪魔するT山事務所。感動した。


T山センセがいれてくれた甘いミルクティーを飲みながら小休憩を挟み、
事務所の2階で残りのシーンの撮影に突撃。




「 はい、コレで終わりですわ、
  とりあえず今日で人を使った撮影は終わりじゃん 」

午後5時頃、撮影終了。MとO、そしてM平さんによるパチパチとまばらで
弱々しい拍手が事務所内に響き渡る。


「 いや、お疲れさまでしたT山センセ、、、
  でも、映画のクランクアップって、こんな地味な感じでしたっけ?
  テレビとかで見てたら、何か出演した女優さんとかがサプライズで花束持って
  現れて監督に渡してウワァ~っていう華やかな感じの、、、 」



「 O君、M君、まぁ、こんなもんですわ 」

その言葉からは、長年映画作品を撮り続けているT山センセの貫禄を感じられた。


その後、T山センセ事務所近くのファミリー宴会場での打ち上げに誘っていただく。

午後8時に閉まるクリーニング店にどうしても今日中に荷物を取りに行かなくては
いけない用事があったOは時計を気にしてソワソワとした様子。
Mも何だかそれにつられてソワソワしてしまった為に、打ち上げ会場では
T山センセとM平さんをシラけさせてしまった。

しかし、2人揃って逃げるようにお先に失礼させてもらう時、店の出入り口でMが
T山センセとM平さんに向かって敬礼をすると、お2人ともそれに気づいてくれて
『キリッ!』とした表情で敬礼を返してくれたのには感激した。

店を出た途端、急いで帰らないといけないOは、マジな顔して最寄り駅まで
ダッシュし始めたのでMもソレにつられて走る。
なんとか西中島南方駅に到着し、丁度、天王寺方面ホームに停車していた電車に飛び乗る。

「 ふーっ、なんとか間に合いそうやわ 」(何が『ふーっ』だ!)

座席に腰掛け、腕時計を確認しようやく、安堵の表情を浮かべるO。

電車が発車してからは、いつも2人でいる時そうしているように
最近見た他人のブログについての話を熱心に始めるMとO。

話し込んでいると、あっという間に天王寺駅に到着。
Mは谷町線に乗り換えるためにそこでOと別れた。


T山センセ、ファンとして映画の完成楽しみにしております。
敬礼。






 

八坂

阪神野田駅、の改札を出ると四角い柱に背をもたれてる
マスク姿のT山センセとMの姿が見えた。

「すみません、遅くなりました。」

「おうっ、Oくん。あけましておめでとう。」

「いやー、センセ、体大丈夫ですか?
 ボロボロde薬漬けらしいですけど。」

「んー、医者からは土日は絶対安静言われてるけどな。
 まあ、こんなんですわ。えーと、今日はもう一人来るから…」

そうこうしていると、ひょっこりと向こうからM平さんが
現れて、(8時だよ)全員集合。

午前中の撮影場所、海老江の八坂神社へ向かう。

神社に向かうまで真っすぐのびる道には昔ながらの家屋が並び、
道中には貸本屋さんなども見られる絶好のロケーション。

神社の入り口には巨大な鬼の顔の看板が立てられており、
参拝客はその鬼の口の中を通って神社に入るようになる。

もう一方の入り口は同じように「おたふく」の巨大看板が立てられていた。

「Oくん、これ被るか?」

T山先生から受け取ったのは、(加藤)茶色のベレー帽。
恐る恐る帽子を頭に乗せてみる。

「ぎゃははは、Oさん、なにこれ!こんなん、藤子不二雄ですやん!」

「ほんまや、ぎゃはは!」


結局、境内でなにかザワザワと(仲本)工事みたいなのが始まったので
隣接していた公園へ移動して残りのシーンを撮影。

サクサクと撮影が済み、T山センセとM平さんとはここで別れた。
まだ昼から別の撮影があるそうだ。


取り合えず駅近の定食屋で体を温めることにした。

「いやー、ほんとにサクサク撮影進んでよかったね。」

「ほんまですねー。…いやね、実は今日、大阪国際女子マラソン、あるでしょ。
 あれ、わたし毎年楽しみにしててねー。ちょうど家の近くがコースなんですよ。

 この時間からやったら、遅い選手…まあ、遅いっていっても僕なんかより
 全然早いんですけどね、見られそうですわ。」

「へー、そういえば去年もそんなこと言ってたねー。」

「まあ、何ていうか今年は特に注目選手とかはいないんですけどね。
 でもこう、わかります?女子ランナーが走ってる姿を間近でね、
 こう、何というか…ヒヒヒ…」

「嬉しそうやね。」

「そうですねー、毎年のことなんでね…まあ、大げさかもしれませんが、
 これを見ないと1年が始まった気がしないって感じですかね。」

ご飯を食べ終わり、上機嫌のMと梅田駅で別れる。


後でわかったことだが、今年からマラソンコースが一部変更され、
Mの家の近所の前を女子ランナーが通ることはなかった。

Mの1年が始まることなく終わった。

阪急電車

週末、阪急電車に乗って神戸方面へ。

「そういえば、大学の同期にOくんっておってね。」

「あー、覚えてますよ。僕も1回だけしか会ったことないですけど。
 今何してるんでしたっけ、海外行ってるんですか。」

「いや、全然連絡とってないんやけど。
 途中からあんまり顔見んくなってね。」

「で、そのOさんがどうしたんですか。」

「いや、ちょうどこんな感じでね。大学1回の頃かな。
 普通電車に乗って彼と三宮に行ってたのよ。

 で、Oくん御影駅から通ってたから、地元のこと話してくれてね。
 なんかふいに思い出したんよ。」

「へー、まあなかなかインパクトのある方でしたからね。」

「いや、なんか神戸とかその周辺に住んでる人って、
 みんな、神戸に住んでたら他の街に出て行きたくないみたいに
 言うんやけどね。

 電車からの風景見てても、何かわかる気がするわ。」

「そうっすね。案外Oさん、まだこの辺にいるかもしれませんね。」

梅田から40分ほどかけて、電車は春日野道駅に到着した。

今日は我らがアニキ、T山センセ新作映画の撮影日。
しかもクランクインということで、貴重な現場に参加させていただくことになっていた。

撮影用に使う小道具を徹夜で用意してきたMはややテンション高め。

一旦ぴらにやカフェに集合して、撮影場所に向かう。

現場に入って、次々と役者の皆さんが集まってくると、
次第にピンと張り詰めたような緊張感が漂ってくる。

長時間の撮影も、午後6時ごろに無事終了。

今日撮影したシーンは全体のごくごく1部のシーン。
それでも、演出を入れたり、別カットで撮ったりなんかで
1日かかってしまうことを考えると、映画制作にかかる時間と労力は
計り知れない。

ただ、ほかの役者さんの演技を間近で見られたことは本当に貴重な経験。
なにより楽しそうに撮っているT山センセの姿が見られたのがよかった。


翌朝、Mからのメール。

「なぜか筋肉痛なう。」

たぶん、「スッポン!?」のやりすぎだと思う。
同じくOも、ふともも筋肉痛。

打ち合わせ

待ち合わせの時間までまだ余裕があったので、Oは阪急梅田駅2階
改札近くのブックファーストで立ち読みをしていた。

しばらくして背後に気配を感じたので振り返るとMの姿があった。

「よお、Oさん。ぼちぼち時間ですね。」

いつから後ろにいたのかという野暮な質問はしない。
お互いにニヤァと含み笑いを一発、本屋を後にする。

「なんというか、Oさん。Eさんのブログとか見ました?」

改札から流れてくる人の波にチラチラと目を配りながら、
Mが話を振ってきた。

「え、いや見てないけど…
 でもこう、あれやねMっちゃん。いつもよくチェックしてるよね。」

「あたりまえでしょ、ヒヒヒ。

 いやそれでね、わたしら来週名古屋ですやん。
 それでなんかEさん、おすすめのサークルゆうて紹介してくれてるんですよ。」

「そうなんや、ほんとにありがたいよね。」

「それでね、他にも“山坂書房”で検索かけたらね…」

「ミニコミパトロールかっ。」

そんなこんなで、改札の方ばかりに目をやっていると、
ひょっこり横の柱からT山センセがあらわれた。

「どーもどーも、こないだはありがとうね。」

いつもながら低姿勢に挨拶をしてくれるT山センセのTシャツには
はだしのゲンのかっこいいロゴとイラストが光っていた。

近くにある地下街の喫茶店で打ち合わせ。

オバQのイラストを描いたり、ミニコミ裏話を聞いたり、田舎話をしたり
結局喫茶店を2軒ほどハシゴした。

貸本漫画の話題では、T山センセの引き出しの多さというか
知的探究心の塊っぷりに感心しっぱなしだった。


3時間ほどの打ち合わせで、解散。
忙しいセンセはそこからまた次の打ち合わせだとか。


 -翌日-

Mからメールが届く。

「…けいおん!!は見ましたか。」

ハマっとるなあ。





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