パブリッシュごっこ15

9月28日(日)

香山哲さんの主催するミニコミイベント「パブリッシュごっこ15」に
参加してきました。

これまでの14回は、神戸元町にあるトンカ書店さんでの開催でしたが、
今回は大阪の中津にあるシカクさんの2階で開催。

築100年ほどの建物を改装されたという
昔ながらのいい感じに急な階段を上がると、
先に来られていたイベント参加者のみなさんが
行儀よく座っておられるのが見えました。

みなさんが向いている視線の先には
飼い猫のにゃん太がちょこんと座っており、
にゃん太の話をみんなが体育座りをして聴いてるみたいで
微笑ましかったです。

自分も初めて2階に上がらせてもらったのですが、
このイベントにちょうどよいサイズと雰囲気だなと感じました。

20人弱の参加者のうち半分ほどが初めての参加ということもあり、
香山さんの丁寧なイベントの流れ説明からスタート。

香山さん制作の冊子は「ゴーゴーズの良さについて」という豆本。
ホチキスを使わない製本で綴られた慎ましいたたずまいは、
誰かの時間もスペースも圧迫しない優しい冊子です。

その他、参加者紹介の冊子について、ちょっとずつ。

「痛快乙女みよちゃん2」 アシタモ先生
スマホのアプリなどでも漫画は見られるようですが、
冊子特典としてアシタモ先生の自作ポエムも掲載。

「ホテルトマール」 てらいまきさん
一泊五万円のホテルに泊まった時のルポ漫画。
ガスマスクの収集もされているようで、スイス軍、ロシア軍と
各国のマスクの装着具合についての話が興味深かった。

「身近な人から聞いた怪談マンガ」 百物語 土屋さん
おだやかに、怪談について語られていた土屋さん。
オカルトと聞くと心霊や怪談などの刺激的なイメージがあるのだけれど、
都市伝説や陰謀論のような、世の中のどうにも説明がつかないものを、
みんなひっくるめてくれる懐の深さが、オカルトにはある
みたいなことを香山さんも言ってました。

「Little Port Magazine vol.1」 あやみさん
地域に密着した内容が多く、地元愛にあふれたポップな冊子。
一度手書きした記事をデータ化してブログに発表、その後
紙媒体に印刷してリトルプレスにと、その身軽さも魅力に感じました。

社会人芸術家集団 三角関係さん
学士時代の友人で作られているという冊子。
みんなで何かを作っていくという過程が、きっと
貴重な財産なのだと思います。

「自分毒9」 猫町存美さん
2年ぶりの発行とのこと。「自分にとって大切なものを確かめに行く」記録。
会場では、以前までの号から装丁を変えたことを話しておられましたが、
ペーパーを読んで、すごく納得してしまいました。


イベント後に、「居酒屋たいちゃん」なる食事会も企画されていたのですが、
残念ながら自分はここで退席。

自分も「山坂」の七号を紹介させていただきましたが、
その場で声をかけていただいた方々に感謝をしております。

いいイベントでした。
また開催されることを願っています。


クマよけの鈴

昨日よりシカクで開催されております
西村ツチカ個展「クマよけの鈴」。

初日は18:00より、ドグマの香山さんとツチカさんの
トークイベントだったので、ぜひと思って行って来ました。

個展の方はシカクを会場に、個展タイトルのパネル画と
これまで描かれた作品の生原稿、カレンダー用のイラストと
細密に描かれたペン画作品を展示してありました。

後のトークショーでも語られていたのですが、
とにかく原稿がとても美しかったです。

以前より香山さんは「印刷されたものが作品」というようなことを言っておられて、
自分たちもそういう意識がどちらかというと強いのですが、
少し角度を変えたときに光沢を見せるインクの筆致であったり、
力の加減や、一筆ごとの息づかいを感じられるのは、
生原稿ならではの良さなんじゃないかなと感じます。

トークイベントは、シカクから少し離れたところにある
おしゃれなカフェで行われました。

後ろの方は立ち見になるほどの、満員状態。
遠方からの方もおられたようで、関心の高さが伺えます。

前半は、「シカノーベル賞」といって、観客の持ってきた
エネルギッシュな作品をとにかく褒めるという企画。

丁寧に一作品ごと、褒めておられました。

トークは二日間にわたって行われるということで、
ある程度テーマを絞った内容でしたが、
漫画で食べていくということを、とても強く意識して
描いておられるんだなということがわかりました。

「心の機微を描きたい」という言葉から感じられた
ツチカさんの人となりは、自分が想像していたものと
大きく違っていなくて、嬉しい気持ちになりました。

個展は来週までやっているので、多くの方に
見てもらえればと思います。

パブリッシュゴッコ14 その2

今回のパブリッシュゴッコ14、久しぶりのイベントだったので
ということもあるのですが、みなさんに紹介したいものもあったので
参加をしてきました。

STC.png

昨年の11月に、ひうち棚氏の主宰する
「瀬戸内タートルくらぶ」より発行された冊子です。

シカクさんが年刊で発行しておられる「シカクの本」(1月18日発行)にも
紹介していただいておりました。

発行からは少し時間が経っていますので、手に取っていただいた方も
おられるとは思いますが、内容を少し紹介したいと思います。

漫画と旅行記という2本立ての構成で、漫画では連作短編、少女マンガ
4コマモノとバラエティに富んでいます。

連作短編漫画の「がんばれチャグ」は主人公の吉見青年が働く
塗装工場での人間模様を描いたもの。
読んでいると「へらこい」とか「どくれる」とか、出てくる方言が
勝手に登場人物の声として頭の中で自然再生されてしまいます。

今となっては労働者を描いた漫画も少なくはないのかもしれませんが、
執拗に描くでもなく、かといってデフォルメもしすぎず。

それでも、工場内に響く声や空気、匂いすら感じてしまうのは、
省略されつつも、丁寧に描かれた背景によるものかなと思います。

いぬゐのこ先生の「嗜好」は、清涼感に溢れるもの。
漫画的な演出はあるにしても、僕はこういう正直な漫画がすきです。
喫茶店に飾られた絵にも遊び心が感じられます。

「やっぱしタヌキだもんで」
ひうち棚氏の4コマモノ、1ページモノはブレがなくていいです。

パブリッシュゴッコで紹介した冊子には、50/50と記されていて
恐らく在庫はほとんどない状況と思うのですが、
できれば多くの人に見てもらいたい、そんな冊子です。


イベントは23時を回る時間まで続き、イベント後もそれぞれの作家さん同士
交流を深めていました。

パブリッシュゴッコ14 その1

20時30分のトンカ書店には、イベントに予約をしていた方々が
ほとんど集まられていた。

今回は、主催の香山さんに加えて、大阪は中津にあるシカクより
店主の巴さん、副店主の竹重さんを交えての回となりました。

山坂書房も大変お世話になっているシカクさんですが、
ミニコミ、フリーペーパーとの出会いは、このパブリッシュゴッコだったようです。

このイベントを通じて紙モノが好きになり、大阪にミニコミを専門に扱うお店が
少ない現状にいても立ってもいられず、自分でお店を作っちゃった方で、
「ずいぶん、こじらせちゃってます。」と笑って話されていました。

イベント参加者で印象に残った方々。

しばえもん
淡路島から来た衝撃の高校生(保護者付き添い)
藤子F先生の絵柄だけでなく、アシスタントさんの絵柄まで描き分けられるという異才の持ち主。
デジタルで描いているようですが、タッチはほぼ完コピ。
「漫画家になりたい」ではなく「ドラえもんが描きたい」と、明確なビジョンもあり、
香山さんや他の参加者から、進路についてアドバイスを受けたりしていました。

フリーペーパー「ALONE]
A4二つ折りの扉には、シンプルな手描きイラストを配置し、
手にとってもらいやすい紙面づくりを心がけておられる方。
印刷所への思いも強く、かれこれ5・6年ほど定期刊行しているという
モチベーションも見習うところがあります。

「ある星のお話」
本職の陶芸をやられている傍ら、頭の中で紡がれた物語をまとめた冊子。
トンカ店主も「星の王子様に匹敵する」と大絶賛。
柔らかく、心地いい言語感覚で綴られた文章は、気持ちを優しくしてくれます。

「宇宙探検記?」
タイトルうろ覚えですが…一点モノの手製冊子。絵本のような装丁で作ってありました。
宇宙の誕生について本で調べ(ネットの情報は信用できないとか)、まとめたもの。
絵を描くというアウトプットばかりではなく、インプットの重要性を感じました。
何億年という時間軸で語られる宇宙について調べた上で、今後は未来についても
描いていきたいと語っておられました。(人類は滅びると予想されていました。)

「桜井さん」
競馬予想の冊子を作成されているナイスミドル桜井さん。
主催者さんからも「ヤバい」「占星術か」と称されるほど、
競馬が好き過ぎて突き抜けてしまっている感じ。
ただ、競馬もギャンブルという側面だけではなく、血統のドラマとして
一頭の馬、一人の騎手に焦点を当てると、途端に引き込まれてしまう感覚
わかるような気がします。

「アシタモ」さん
これまでに作った冊子の紹介など。
紹介の際に手に取った冊子の中から、はさんだ覚えのないという
四葉のクローバーがひらりと出てくるという奇跡が起こりました。


もしかしたら、失念している方もおられるかもしれませんが、
香山さんや巴さんが上手に話を引き出して、それぞれの思いを
語られていました。

 -続-


パブリッシュゴッコ14(13の話)

神戸元町にあるトンカ書店さんで行われる
紙系総合イベント、パブリッシュゴッコ14に行ってきました。

前回PG(パブリッシュゴッコの略)13の開催が
2013年の3月2日なので、約1年ぶりとのこと。

自分はPG13にも参加したのですが、その時のことを記事にしてなかったので、
イベント参加前に色々思い出してみました。

簡単なメモはありましたが、少し時間が経っていたり、
自分の記憶が他の出来事とごっちゃになってるかもしれませんが、
なんとなくその時に聞いたニュアンスを覚え書きしておこうと思います。

イベント自体は参加者が自分たちで作ったものの良いところや、
苦労話、今後の展望なんかを話したりするのですが、
主催の香山さんは、印刷業界とデフレというような切り口で話しておられました。

かつては、印刷・出版業界というのは様々なリスクを抱えた業種であったと。

今ほど手軽に印刷ができる環境では無かった時代には、
本を作るためには多額の資金が必要であったり、それなりの身分や
信頼を求められたり、在庫を管理できる倉庫も必要だったりと、
作るまでのハードルも高いし、作った後も本が売れなければ
何千何万部の在庫の山と、多くのの負債を抱えてしまうという、
誰でも簡単に始められるものではなかったようです。

もちろん今でも、大手の出版企業では資金や信頼が必要でしょうが、
個人レベルで比較的安価に、数部程度から印刷物が作れ、
カフェや雑貨屋さんなどに置いてもらえるなど、
始めるのも止めるのにも、リスクが低くなってきている
という現状について語られました。

デフレ傾向にある印刷への敷居ですが、その背景にあるのは
「こういうことがやりたい」と思った時に、サンプルになるものが
たくさんあるという「機会」の高まりのようです。

裾野が広がった分、いろんな人が様々なことにチャレンジして
うまくいったりいかなかったり、それを見て別の人がまた新たなことに
チャレンジしてと、大きなリスクを抱えずに思ったことを試せる環境に
現状なっているというように言っておられました。

「それ、紙でやらずにネットでやれば…」
みたいな事を、参加者の紹介物を聞きながらツッコミを入れてた
K山さんですが、イベントの最後には

「内容や好みの差異など、とてもささいな違いであって
 大きく印刷ということでつながっているもの同士、
 仲良くというか、お互いを認め合うことができればいいね」

というようなコメントで締めくくられました。

ネットとか便利だし、環境さえ整えば安価で始められるし
早く情報を手に入れられたり、遠くまで発信できたりするのですが、
それでも紙モノでやりたい人たちを、いい距離で応援している
そんな言葉に感じました。

ここまでが前回の思い出になります。

 -続-

| TOP | NEXT