餃子

「サプライズやねー。」

久しぶりに乗せてもらうS氏の車内。
プリントアウトした地図を見ながら、M宅を目指す。

偶然にも家族で四国に来ていたS氏が、Mからの連絡を受けて
M宅に顔を出すことになり、ついでにOを拾ってくることになったようだ。

大きな通りから一本細い道に入り、夕暮れののどかな風景が広がる。

初めての道のはずだが、S氏のハンドル捌きは、
まるで我が家への帰路のように慣れたものだった。

しばらくすると、向こうの方に白いTシャツのノッポ姿が見えた。
Mだ。

「このスペース、停めてもいいところなんすよ。」

マンションの向かいの駐車スペースに車を停車し、
案内されるままに階段を昇る。

「ここですわ。」

Mがドアを開ける。

「あ、どうもー。ご無沙汰しています。」

香ばしい料理の匂いとともに、N女史の声が奥の方から聞こえてきた。

N女史「Mっちゃん、とりの天ぷら売り切れてたから、
    代わりにちくわ天やらゲソ天を買うてきたんよ。」

M「なんだとコノヤロウ。俺はとり天を買ってこいっつっただろ。
  ふざけんじゃねぇぞバカヤロウ!パンパンパン!」

指でっぽうで粗相をしたN女史に制裁を加えたMは、
どうやらアウトレイジビヨンドを見たばかりだったという。

この春からMとN女史は、この地で新しく生活を始めている。

早くから準備をしていたのであろう食卓には、
テーブルせましと手作りの夕食が用意されていた。
N女史は最後の仕上げ、スープを作っている。

「Oさん、ちょっとベランダ見て下さいよ。」

案内されるままにベランダに向かう。

「端っこの方からちょっとだけなんですけどね、
 ほら、さぬき富士が見えるんです。」

うっすらと陰りゆく空の向こう、
家々の間からきれいな山様が顔をのぞかせていた。

しばらくベランダからその景色を眺めさせてもらって
食卓に帰ってくると、夕食の準備が整っていた。

「何がいいって、着いたら食事の用意ができてて
 すぐに食べられるっていうのがいいわ。最高やね。」とはS氏。

お皿に盛りきらないぐらいの餃子にちくわとゲソの天ぷら、
それに手作りのきゃらぶきとほんとに豪勢。

まんが道よろしくチューダー(のアルコール抜き)で乾杯し、
お腹いっぱいになるまでたらふく食べた。

食後には、地元の銘菓レモンケーキをいただき、
MとN女史の用意していた余興(あるある探検隊)を楽しんだ。

少し早めにS氏は家族のもとへ帰り、その後しばらく3人で話をした。
山坂創刊号からの3人だ。

話し込んでいるうちにいい時間になったので、
Mの車で実家の近所まで送ってもらうことになった。

地元の道をこの3人で、そしてMの運転でというシチュエーションは
なんだか変な感じがした。

帰り道に車中から振りかえると、
暗くなった空にぼんやりとさぬき富士が浮かんでいた。

そうか、こんな見え方がするのかと思った。


 

M駅

5月25日(土)

待ち合わせ場所は、JR予讃線のM駅だった。

この駅のロータリーからの眺めは、漫画雑誌山坂に掲載されている
「去年の夏のことですやん」のワンシーンと重なる。

あれは4年ほど前だったか。
Mと帰省を兼ねて、この地を小旅行したことがあった。

山坂書房のロゴマークにある山のシルエットは、
このあたりから見える通称“さぬき富士”がモチーフとなっている。
小旅行の目的は、そのロケハンであった。

駅前のかまど喫茶でお茶をした後、レンタサイクルの自転車を借り、
さぬき富士を望むベストビューを目指して、地元のお城を横目に
土器川沿いをウロウロしていたのを思い出す。

時計に目をやると、時間は6時半。
あたりはボンヤリと暗くなり始めていた。

携帯電話が小さく揺れ、Mからメールが届いた。

「タクシーとまっとるところで、キョロキョロしといてや」

四国に帰って車社会の一員となったMも、
ペーパードライバーから早1年の月日が経とうとしている。

いよいよスピード狂と化したMの愛車が乱暴に横付けしてくるのを
今か今かと待っていたのだが、一向にその気配はない。

目の前には、赤い車がハザードを出しているだけだが…
ん?中から運転手が手を振っている。

後ろを振り返っても誰もいないし、いよいよ暗くなってきて
こちらからは中の様子がわかりにくい。

まだ手を振り続けているので、恐る恐る近づいてみると
中から、「Oくん」と耳なじみのある声。

「えっ、S氏!? なんでここに?」


 -続-

香山哲の赤青3Dおばけ展

香山哲の赤青3Dおばけ展

会期  2013年2月1日 から 2月28日 まで
     (ただし火曜と水曜日は休みです)

場所  シカク
     JR大阪駅・各線梅田駅より徒歩約15分
     阪急・御堂筋線中津駅より徒歩7分ぐらい
     (大阪市北区中津3-17-12 中津商店街)

時間  各日 14:00-20:00 (火水曜日休み)

シカクさん、K山さんから直々にご案内をいただいていたこともあるのですが、
直前にT木さんからお誘いのメールをいただいたこともあり、
中津にあるシカクに個展を見に行きました。

展示の内容は、立体視。

昔懐かしい3Dメガネ(左右で赤と青の色の違うフィルムを貼ったもの)を
かけて見ると、浮き出て見えたり奥行きを感じたりするという、
不思議な平面イラストやグッズなどが並んでいました。

作品だけでなく、立体視の仕組みなどをわかりやすくまとめたものも
展示してあったので、非常に興味深い内容でした。

会場に流れるBGMも、おばけチョイスでよかったです。

T木さんと一緒に来場されたY我さん、T島さんは
「関西ステレオ写真同好会」のメンバーということもあり、
会場におられた方の持つ立体視機材の説明を
じっくりと聞いておられました。

余談ですが、会場にあった「顔はめ」で記念写真を撮ったりと
Y我さんのお茶目な一面が見られたのが収穫です。

個展には次から次へとお客さんがひっきりなしに来場され、
とても大盛況でした。

お忙しい中だったと思いますが、シカクのTもえさん、T重さん
色々とありがとうございました。


その後は、ブラブラと寄り道をしながら茶屋町あたりの喫茶店で
T木さんらとお茶をご一緒させていただき、話題になっていた
「なかよし」の付録「スーパー最強まんが家セット」を見せてもらいました。

短い時間でしたが、楽しいひと時でした。

P.S.
 K山さんといえば、3月2日にトンカ書店さんで久々の
 「パブリッシュゴッコ」を開かれるようです。

大人の漫画講座

神戸の稲荷市場にあるI'maさんで行われたトークイベント、
「大人のマンガ講座 トキワ荘編-飛び出し坊やもあるよ!」
に行ってきました。

赤塚不二夫マニアとしてNHKに出演経験もあるついついさんと
我らがアニキ、顔画工房ことT山貝十センセが出演ということで、
ぜひともと思って時間よりちょっと早めに会場入り。

稲荷市場は、数年前に同じくI'maでの映像イベントの際に来て以来でしたが
(その時は地域の地蔵盆と合わせてだったので、活気がありました)
あまり変わりの無い雰囲気でよかったです。

椅子に座って待っていると、向こうの路地の方から
飛び出し坊やの看板を持った二人組がこちらの方へ。
今日のメイン、ついついさんとT山センセでした。

飛び出し坊やの看板は手づくりかと思っていてら、
久田工芸さんで購入できるとのことにちょっとびっくり。
オリジナルも作ってくれるとか。

恒例といいますか、イベント前のフリー映像タイムでは
「ダウンタウン汁」に赤塚不二夫がゲスト出演した回と、
NHKの「熱中スタジアム」についついさんが出演した回の
映像が流れました。

ちょうどこの時、MCの中越典子が別の仕事で福田萌と変わった回らしく、
司会のオリラジ中田との縁結び番組ちゃうかとこぼれ話も聞けました。

イベント自体は、天才バカボンをテキストにして、実験ギャグの考察や
赤塚不二夫プロの仕事についての面白トーク。

特に掲載作品を月単位の連載・読みきりで色分けし、エクセルで視覚化した
「赤塚不二夫の全仕事」は圧巻で、赤塚不二夫がいかに天才だったかを
あらためて実感できるものでした。

ただこのリストを眺めているだけではなくて、
多くの背景情報を持った方々が当時のエピソードを掘り下げていったり、
実はこうだったのではといった推論を立てたりと、
今回のようなトークイベントでガンガンとネタを投入していくのが
実に面白いと感じました。

リストの完成までもう少しとのことなので、ひょっとしたら
完全版として次の機会もあるのでしょうかね。
また行きたいです。

お疲れのT山センセ、気を使って途中まで見送ってくれました。
8月のイベントも楽しみにしてますよ。


8月18日(土)「鉄ドン ハイパー(仮)」in大阪(西中島南方)
http://tetsudon.sarashi.com/

ニコニコに顔顔チャンネル開局
http://tetsudon.sarashi.com/

近況

先々週のことになりますが、トンカ書店さんで開催されていた
「藤田みゆき個展 装う身体」に行ってきました。

三ノ宮駅でMと待ち合わせをして、そのままトンカさんへ。

店内に設けられたスペースには、欲張り過ぎない点数の作品が飾られており
近作であろう4ページものの漫画も展示されていました。

色遣いもそうですが、なにより作品のサイズがスペースにマッチしていて
いい空間になっているように感じました。

しばらくMと作品を見ながら、スクリーントーンの使い方や、
「これいくらっすかね」的な下品な会話をしました。


トンカ書店さんを知るきっかけになったのは、香山哲さんが主催されてた
「パブリッシュゴッコ」というイベント。

ミニコミやフリーペーパーなど作った人が作ったものを持ち寄って
ワイワイやるイベントでした。

トンカさんとお話をしている中で、ミニコミや文字系の人たちが
作ったものを介して交流できるイベントが、また関西にもできればなあ
みたいなことでちょっと盛り上がりました。

話しただけでやった気になるのが、自分たち(MとO)の悪い癖です。


トンカ書店を後にして、喫茶マロンまで移動。
いつもと変わらず、笑顔で迎えてくれるのが嬉しい。

Mはオムライス、Oはオレンジスカッシュを注文し、
近況について話し合った。

色々と身の回りのことを整えながら、夏、秋に向けて
ぼちぼちと手を動かしていきます。

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