ア・リトル・ユーモア

長らくの間連載しておりました、ア・リトルユーモア。
先日分で、第3期終了でございます。

また作品が貯まりましたら、こんな感じで
発表できればと思っておりますので、
どうぞのんびりとお待ち下さい。

それはそうと、マブダチのひうち棚氏が、
「STC」を創刊させるようですね。
(瀬戸内タートルくらぶの頭文字かしら?)

秋が深まった頃ぐらいでしょうか。
楽しみっス。

サングラス

 「 それで、MぽりんさんとT山センセは知り合って長いんです? 」

 「 おう、ボクが東京おった時、同じ職場でなぁ、」

 「 でも、こうやって会うの5、6年ぶりぐらいなんですよ~ 」

 「 へぇ~5、6年!それはだいぶ長いこと時間経ってますねぇ 」

 「 そうやで、イベント始まる前、『久しぶり~』って言われても、全然誰か
   気がつかへんかったもんなぁ、ほんで自分何歳になったんやっけ? 」

 「 T山センセって、いつもズケズケと女性に年齢、聞きますよねぇ、凄いなぁ、、、 」

 「 いつもってなんやねん、いつもって、Mくんよ 」

 アハハハ、と笑うMぽりんさん。T山センセのお知り合いの女性は、美人ばかり。

 T山センセのイベント『ゲバゲバ顔チャンネル』も無事に終了し、帰路に着くT山センセと
 Mぽりんさんとごいっしょに美園ビルを出て、南海通りの方向へ歩くMとO。
 信濃そばの前で立ち止まるT山センセ。他の3人もそれにつられて立ち止まる。

 「 ちょっと、ここ寄っていかへんか? 」

 「 あっ、いいっすね、丁度小腹も空いてたところやし、ええ匂いしてますね~ 」

 「 Mポリンも行くか? 」

 「 うん、入ろか 」

 奥のこじんまりしたテーブル席に案内され、そこにいそいそと座る4人。

 T山センセは天ぷらそば、Mぽりんさんはカレーうどん、Mは、はいからそば、
 Oは山菜そばを注文。

 「 おっ、Mぽりん、カレーうどんええなぁ 」

 「 そう、大阪来たらいつもインディアンカレー食べたくなって、結局今日は食べられん
   かったから、カレーうどんで気持ちの整理つけよ思て、、、 」

 「 まぁ、そうなるわな、ここのカレーうどんはうまいでぇ~ 」

 程なくして、注文した4品が到着、4人はそれぞれ、ズルズルと、そば、カレーうどんを
 啜る。

 「 いや、でもセンセ、僕今日初めて、センセのイベント見せて貰ったんですけど
   もう圧倒されましたわ、スゴいっスね 」

 「 ホンマかMくんそれ?イベントの最後に今日の総括、客に求めたった時、自分
   急に指名されて、いっぱいいっぱいになって、なんも喋れんかったやんけ。
   アレには他の客も本気でひいてたゾ、まぁ、あれが今日1番おもろかったけどな~
   サハハハハ!!ど~でもええけどや、お前はもっと普段から、声張らんかい!! 」

 「 いや、もうホント勘弁してくださいよTセンセ、こっちわ、トンデモない映像を2時間
   ぶっ続けで見せられて、笑いすぎてぐったりしてるとこに、あんな酷い客いじりは
   無いですよ~ 」

 「 いや、Tセンセ、ほんと彼も映像のスゴさに疲れてたんだと思いますわ、普段なら
   彼、もう少し気の利いたこと言える男なんですけどねぇ 」

 「 でも、そんな、こっちは、芸人さんじゃないもんねぇ~あんなことされても困るよね 」

 「 そうですよねMぽりんさん!良いフォローしてくれますね、やさしいなぁ~ 」

 「 アホか自分ら、ワシのイベント来て、油断しとったらアカンで、、、 」

 
 T山センセがドグマ出版から顔画工房作品として発行された、『劇画黒座敷』の
 解説で、作家の幽谷マサシさんは 「この作品を読むのには読解力は要りません。
 必要なのは体力だけです。」と書かれていらっしゃいます。
 今夜開催された、『ゲバゲバ顔チャンネル』というイベントも、まさに座っているだけの
 観客が体力を消耗させられるスゴいイベントでした。また皆も行かんと。


 「 いやでも、もうあんなフリを素人のボクなんかにしないでくださいね、あ~怖い 」

 「 『怖いっ!!』だって、若いね~サハハハハハハ!! 」

 「 あっ、そうそう、K本さん(T山センセの本名)、私、K本さん(T山センセの本名)
   連絡先知らんから、教えてよ 」

 「 あれっ、Mぽりんに教えてなかったっけ?おう、じゃあ書くわな、でも連絡先
   知らんのに、よう今日のイベント見つけて来てくれたなぁ、、、 」

 「 私、K本さん(T山センセの本名)の動向ずっとHPとかで、こっそり、チェックして
   たからね。HPの顔画別館対談なんか、私、プリントアウトして読んだからねぇ 」

 「 おう、それマジか?自分もやっぱし、変よなぁ、、、 」

 サラサラとメモ帳に、ご自分のアドレスを書くT山センセ。その紙の端っこに、Mと
 O、Mぽりんさんのリクエストに答えて、かわいいご自分のキャラクター(髪型が
 巻うんこのキャラクター)をサラサラとお描きになられた。

 「 ワシはイラストレーターと違うからなぁ、こんなリクエストを気軽されても困るん
   やでぇ 」

 「 わぁ、めっちゃかわいいですやんコレ~、いいなぁ、、僕らも欲しいなコレ、、、」
 

 食事を終えて席を立つ4人。狭い通路を抜けレジへ。レジ横に敷かれているマットが
 異常にヌルヌルしていてMは、滑り転びそうになった。他の3人もマットのヌルヌルに
 神経を集中させて店を出ていたようだ。

 それぞれの帰路へ着くために、地下鉄なんば駅へ談笑しながら歩く。

 「 まぁ、よかったら次のイベントにも、皆来てくださいよ 」

 「 是非とも、行かせていただきます 」

 「 私も、行きたい 」

 T山センセは、イベントの途中にトレードマークのサングラス(レンズ開閉式)のレンズ
 をカチャっと開かれて、「今日来とる客の顔は全員覚えたからな!次のイベントに来てな
 かったらアレやで!」と何度もおっしゃられていた。でも実際、アレだけのお宝映像を
 いっぺんに見ることの出来るイベントなんか他に無いと思います。T山センセもおっしゃら 
 れていましたが、『 YOU TUBE 』でも絶対見ることができない映像だらけ。

 「 いやでも、イベント途中で、T山センセ、、、 」

 「 何やねん、山坂くんよ 」

 「 いや、イベントの途中にMぽりんさんに『 Mぽりん、全然酒呑んどらんやんけっ  』
  て言うたとき、
  Mぽりんさんに、『 じゃあ、呑んだ後の面倒見てくれんの? 』って返されて、
  本気で照れてましたよね、アレもある意味お宝映像ですね 」

 「 アレ、よかったですよねぇ 」

 「 うるさいわ、自分ら 」

 「 ハハハハ 」

 
 T山センセのサングラスの奥の目は、とてもやさしく、MとOは、あたたかい気持ちに
 なった。
 

 了


 
 

美園ビル

 
 千日前通りから相合橋筋へ入るM。目的地の丸福珈琲本店へ到着。
 『 先に丸福入ってます。入って左 』
 というOからのメールがMの携帯電話にはいっていたので、
 指示に従い、丸福珈琲店の扉を開ける。 店員さんに、待ち合わせです、というような
 合図を送り、そのまま左方向へ歩いていくM。土曜日の午後5時。
 
 奥のテーブル席の方を確認すると、偉そうにハンチング帽を被り、何か書き物をしている、
 Oの姿が確認できた。
 そちらに近づきながら、Oが座っているテーブルと通路を挟んで隣にある
 テーブルの方に何気に視線を送るM。そこには金髪のマッシュルームカットが印象的な
 女性と、眼鏡をかけた短髪の男性の姿が確認できた。『 あっ、あの2人 』
 ミーハーなMは一気にテンションが上がったが、冷静を装い、Oがいるテーブル席へ
 自分も静かに着席した。

 「 よう、Oさん、それ何描きよんな? 」

 「 あぁ、これね次の漫画のネームや、もう描かんとね、、、」
 
 「 私もそろそろやり始めんといかんなって思ってるんですわ、ほんで出来そう? 」

 「 いやぁ、もう出来る出来んじゃなくて、やらんとって感じやな 」

 「 同感です 」

 店員の女性が注文を取りに来たので、MもOが既に注文していたアイス珈琲を注文。
 飲み物が来る前に、Oに、自分達の隣のテーブル席に座っている、
 男女の2人組が、吉本興業所属の漫才コンビだということを、筆談で素早く伝えるM。
 Oは、「 あぁ、何かどっかで見たことあるなぁって思ってたんだけどねぇ、、 」と
 声に出して言った。筆談の意味無いしね。

 あれやこれやと、今後の山坂の活動についての話をするMとOの2人。
 午後6時を回ってから、席を立ちあがる。もう1度、チラリとお隣のテーブルを盗み見て、
 丸福珈琲を出る。
 Oの提案で、近く回転寿司へ。それぞれ5皿ずつで、もう満足。
 
 「 開場は6時半でしたっけ? 」

 「 うん、いまちょうど6時半回ったところやから、ええ時間やな 」

 回転寿司屋を出て、千日前商店街を歩きながら、今日の目的地へと近づく2人。

 「 ほんで、美園ビルってこっちでしたよねぇOさん、、 」

 「 あっ、うん、そうやでこっちやでほら見えた、、 」

 「 そうそう、ここここ 」

 「 、、えーと、Mっちゃんはここ来たことあるんだったっけ? 」

 「 うん、まぁね、そりゃぁね、、Oさんは来たことあるんですか? 」

 「 、、そりゃねぇ、でもまぁ、僕も全部までは知らんけどね、、 」

 長年大阪に住んでいながら、
 大阪の所謂、サブカル、アングラ的な、DEEPSPOTについては、てんで疎い2人。
 もちろん、この美園ビルなんて場所には2人とも足を踏み入れたことなど無い。
 何故そんな小心田舎者の2人がこんな場所に来ているかというと、今夜、
 この美園ビル内にあるライブシアターで、ここ最近、MとOが、何かとお世話になり、
 いろいろと面倒をみてもらっている、顔画工房のT山K十センセが、単独映像イベント
 を開催されるという情報を得たからだ。大先輩の単独イベント、これはもう行かんと。

 「 えっ、これ入り口こっちやっけ? 」

 「 えっ、こっちは違うやろ、こっちの坂の通路上っていくんやろ? 」

 「 あれっ、Mっちゃん、来たことあるんじゃんかったん? 」

 「 Oさんこそ、、フフフ、、、 」

 何とか、2階にたどり着き、数多く入っているテナントから、目的の店を探す。

 「 あっ、このお店聞いたことあるんで、深夜喫茶銭ゲバって、ここにあったんや~ 」

 「 わっ、なにここギャラリー?絵みたいなん飾っとんで、なぁ、こっち見てみて 」

 「 Oさん、私、トイレに行っときたいんやけど、さっきのアイス珈琲の利尿作用が、、」

 「 そうやな、僕もトイレ行っときたいな、この先トイレとちゃうんかな?
   あっ!違う、行き止まりや! 」

 「 ここ、トイレかなぁ、、あっ違う、ドアか思ったら、壁やでこれ、何これ~ 」

 禍々しくも、魅惑的な美園ビル2階の雰囲気に酔い、色めきたつ2人。楽しい。
 お前らいくつよ、情けな。

 結局、2階を一周してもトイレは見つけられなかったMとO。

 「 あっ、ここ白鯨って看板出とるで 」

 「 このボード見てやMっちゃん、T山センセのイラスト! 」

 恐る恐る、白鯨という店の中を覗くと、見覚えのあるお顔が(顔画)登場。

 「 おっ、山坂くん、来てくれたんや、今日のイベントは、ほんまに面白ないで~ 」

 綺麗にに散髪をされ、いつにも増して、パリッと男前な印象のT山センセは、そう言い
 ながらMとOの2人をにこやかに出迎えてくれた。

 「 まぁ、こっち座り~や、ここのソワァ~、座り心地、最高やからね 」

 「 センセ、ちょっと、僕その前に、おトイレ行っときたいんですが、
   トイレはありますかね? 」

 「 人の顔見るなり、トイレ行きたいって、失礼やな自分 」

 
 つづく

 


 
 

盆踊り

 山坂3号の執筆陣や、発行日については詳細が決まり次第また追ってお知らせ
 致します。よろしくお願いします。

 毎日暑い日が続いていますが、山坂同人の皆様、お互い体に気をつけて8月を乗り切り
 ましょう。

 個人的なお知らせになりますが、Mのフリーペーパー『かわらばんくん』の最新号④が
 刷り上りました。
 8日、日が落ちるのを待って、『山坂2号』、『掌編漫画誌土地』も置いていただいている
 大阪北堀江の貸本喫茶ちょうちょぼっこさんへフリーペーパーを置いていただくお願いに
 行ってきました。

 今日はM一人でしたので、フリーペーパーを置いていただけたら、サッとお店を出るという
 シュミレーションを道中重ねていたのですが、お店の扉を開けると相変わらず(と言ってもお
 店にお邪魔するのは3度目なのですが)落ち着いたすごく感じの良い雰囲気でしたので、
 やはりチャイを注文して少し座ることにしてみました。

 今日の店番はSさんという方でした。1度目にお店に行ったときはTさん、2度目はFさんが
 お店番をされていました。、ちょうちょぼっこさんは4人で運営されているということを、
 以前お聞きしていましたので、次にお店に行ったとき、もうお1人のちょうちょぼっこさんの
 メンバーである、Gさんという方がお店番の日ならば、それでMは4人全員にお会いすることが
 できることになります。 

 Sさんは快く、Mのフリーペーパー『かわらばんくん④』を預かってくれました。
 ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 チャイも美味しかったです。
 フリーペーパーコーナーには、先月の紙芝居イベントにも出場されていたGさん
 マンガフリーペーパー『断片君』も置いてあり、Mは「 おっ 」と思い、1部頂戴しました。
 断片君、かわいいです。

 帰り道、阿倍野区民センターの前で盆踊り大会が催されているのをMは発見しました。
 軽快な音頭に合わせて浴衣姿の老若の女性たち(男性は何故か殆んどいませんでした)が
 数十人で輪をつくり踊っている光景はなかなか迫力があり、
 しばらくMは見とれてしまいました。

 盆踊りといえば、神戸は元町トンカ書店さんの今月のお買い物袋ですね。
 
 

 了
 
 

冒険

 6月20日土曜日

 掌編漫画誌土地第一集に寄稿していただいた、寝屋川在住の爽やか漫画家A先生が
 大阪市内のとあるカフェギャラリーで、漫画の公開制作をするという情報をA先先のHP上で
 目ざとく見つけたMとOの2人。ここは1つ、陣中慰問に行かないかんということでその
 A先生の漫画パフォーマンスが行なわれているというカフェギャラリーに2人そろって
 行ってきました。

 14時30分に直接お店に集合ね、とMは事前にOへメールで連絡。
 その時間丁度に到着することを目指してMがお店に向かっていた14時23分頃、
 Mの携帯電話にOからメールが入りました。
 「 現地前の公園で座ってます 」
 
 Mは、『 お店の前まで到着しているなら、Oさん先に1人でお店に入っていたらいいのに 』
 と思いましたが、同時にOさんらしいなとも思いました。
 Oが待っているという清水谷公園に到着するM。公園内を見渡すとベンチに腰掛けている
 Oの姿を確認することができました。背筋をピンと伸ばし前方の空間を無表情で眺め
 微動だにしないOの様子は、まるで公園に設置された人型の野外彫刻のようでした。

 Oは今日もハンチング帽を被っておりました。

 二人揃って公園の前にあるカフェギャラリーへ。お店のガラス窓から店内を覗くと、確かに
 せっせと漫画を描いているA先生の姿を確認することができました。

 MとOの2人は、A先生に対して事前に今日お店にお邪魔します、ということを伝えて
 いませんでいたので、A先生にとってMとOの突然の訪問はある種サプライズ的な
 出来事であり、かなりの驚きと興奮を持って迎えてくれるのではないかと、A先生の
 大袈裟なリアクションを心のどこかで期待しておりました。
 
 しかし、MとOの姿を確認したA先生は驚く様子も無く、いつもどおり爽やかな笑顔を
 浮かべて「 お久しぶりです 」と挨拶をしてくれました。まるでMとOの来訪を事前から
 予想していたような落ち着いたその対応に、自分たちが登場することでA先生が驚く、
 という自意識過剰な想像を勝手にしていたMとOは気恥ずかしくなり、

 「 いえ、偶然お店の前を通りかかったらA先生の姿が見えたので、、、ねぇOさん? 」

 「 、、、そうなんですよ、こんな偶然ってあるんですねぇ、びっくりですわ、、、 」

 と、そんな訳も無いのに、今日この場所に来たのは偶然であるという、誰が聞いても
 虚言だとわかる言い訳をして、A先生に対して強がってみせたりしました。
 それを聞きながらA先生とそのカフェギャラリーの店主さんは優しく
 微笑んでくれていました。
 A先生は昨日が誕生日だったということだ。おめでとうございます。
 
 おいしい自家製のジンジャーエールを飲みながら、チラチラと、A先生が漫画を
 描かれている姿を盗み見るMとO。


 どんな場所でも、どんな状況になってもご自身の漫画を描き続けている限り、
 A先生の冒険は続いて行くのだろうなと、A先生の丸められた背中を見ながら
 MとOは目を細めました。


 了
 
 

 
 
 

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