ECDT

店内には上映会を前に、秘蔵面白CMを見る面々が座っていた。

確かに見た感じ男性陣ばかりだったが、H野さんいわく前回の上映会は、
レースクイーンが後ろにズラッと並んでいたそうだ。

奥の方の椅子に座らせてもらって、スクリーン(白い壁)を見つめる。

お客さんが揃うまでのしばらくの間は、荒井注がいた頃のZ員集合を
流していて、これが面白くてなかなか見入ってしまった。

よく見るとT山センセはMD(マグナムドライ?)とロゴの入った
カッコいい革ジャンを着用しており、それにいつものグラサン姿と
イカつい格好でゆっくりと二人のもとへ近づいてきた。

「いやー山坂くんら、忙しいとこどうもありがとうございますー。
 今日はじゃんじゃん飲んでってや。カレーもあるで。」

「はい、じゃあオレンジジュースとたこ焼き下さい。」

「飲まへんのかい。シラフでは見られへんで。まあええか。
 そしたら、ぼちぼち上映会始めましょうか。」

ビールをぐいっとあおりながら、T山センセは持参したディスクを選別し始めた。

「あれ、S木君。これ映らへんで。」

「え!?ほんまですか、ちょっと見てみますわ。」

どうやら、用意してきたディスクとDVDデッキの相性が良くない様子。

「頼むでS木君、まあ、でもこれがもしあかんかっても、
 ちゃんと次の手は考えてあるからね。」

「あー、ぼくも次の手は考えてますよ、ゴソゴソ… 
 うわっ、てゆーかえー。ちょっと待ってくださいよー。
 K本さん(T山センセ)のヒザくさいですわー。」

「おい!ちょー待てって。ヒザがくさいってどんなヤツやねん。
 そんなヒザがくさいわけないやろ……くっさ〜。」

お約束通りのミニコントも披露しながら、何度かデッキにディスク挿入を試みるも
なかなか機械がデータを認識してくれない。

奥の手として持参していたビデオカメラから直接プロジェクタに
つなぐという方法で急場を凌ぐことに。

技術スタッフ(S木店主)の懸命の復旧作業により、どうやら上映ができそうだ。

その間、上映時の注意をまとめたH野さん主演のビデオを2回視聴した。
2回観ても色あせることのない出来だった。

『ブタ野郎』

元々、「戒王」という劇画家Y田参助氏編集のミニコミに掲載された
T山センセの漫画が原作の映画。

漫画のオチのところに「続きは映画で…」みたいな事を書いていたら、
本当に映画化されてしまったといういわく付きの一品。

尻プロ以前の最高傑作という触れ込みどおり、すばらしい作品でした。
カメラワークがとてもよく工夫されていて、屋上での銃撃戦のシーンには
息をのむほどでした。

見終わった後は、カレーライスをいただきながら(これもおいしかった)、
カットされたシーンや出演陣のプライベート映像なんかを観させてもらった。

最後に見たECDT(石立鉄男)特集もよかった。
なんか泣けた。

次回、尻プロ映画祭第三夜は12月5日(土)18:30〜
入場料300円にて、同じくマーガレットにて開催されるようです。

 -了-

尻プロ映画祭

「あれ、風邪?」

地下鉄の天六駅での待ち合わせに、Mはマスク装着であらわれた。

「いや、あの体調悪くてね、オホンオホン。
 ところでOさん、今日ってイベント行くって約束してましたっけ。」

「いや、約束ってことはしてないけど、前回行けへんかったしね。
 まあ、Mっちゃん体調悪いんやったら、無理せんと帰ったらいいよ。」

「いや、Oさん。ここまで来ておいて帰らせるとかね、
 逆にそっちの方が僕ショック大きいですわ、オホン。」

地下鉄を上がってすぐの商店街にあった喫茶ファーストに入り、
ホットミルクティーを注文した。

「…いや、それでね。わかります?大和田伸也とその奥さん役が
 志田未来ちゃんのセイラを何かあったら口汚く罵るわけですが、
 セイラが風邪を引いたみたいな時があってコホンコホンとか
 咳をしてるわけですよ。

 そしたらね、その奥さん役がだれでしたっけ、ま、いいですわ
 『コホンコホンだって、アタシも風邪をひいてみたいね〜』 
 とかね、いうんですよ。」

「へー、すごいよく見てるんやね。」

「いや、見るでしょフツウ。Oさん見てないんですか?」

「見てないわ。」

「終わってますね。」

「でもそれって、今日やってるんじゃないの?」

「だからちゃんとほら、ビデオ予約してきましたよ。
 久々ですよ、なんか毎週楽しみにできるドラマって。」

「ところで、先週同窓会あったやろ。どうやった?」

「何がですか。」

「いやほら、意気揚々と山坂書房の冊子を小脇に抱えてさ、
 深夜特急で帰っていったやん。どうやったんよ。」

TBSドラマ「小公女セイラ」の話題には饒舌なMも
同窓会の話題になると、頑なに口を閉ざしだんまりを決め込んでいた。
6時15分ぐらいになったので、席を立ちイベント会場へ向かう。

今日は天満にある文化喫茶、たこ焼きマーガレットで開催される
尻プロ十周年記念映画祭の第二夜に参加の予定。

前回のオープニングイベントには駆けつけられなかったので、
どんなイベントなのかはわからないが、何となくわかっていることは
尻プロ以前のスタッフで撮られた「ブタ野郎」(1996年ハタダクション)
という自主制作映画の上映会ということ。

陽が落ちて薄暗くなった路地を進むと向こうの方に
何やら人だかりができていた。

「あそこみたいですね。」

実際はマーガレットの隣にあるスタジオ、ココ・サウンドさんの周りに
人が集まっていたのだったが、その横でトビラに「ブタ野郎」のビラを
貼り付けているT山先生と店主のS木さんが見えた。

「おお〜、久しぶりやんけ〜、山坂君。風邪なおったん。」

「ご無沙汰してます。もう大丈夫っすわ。」

「俺も今来たとこやけどな、客ひとりもおらんで。」

「ちょっとー、うそばっかり言わんといてくださいよー。(S木店主)」

「ほとんど身内やんけ。しかも男ばっかりやし。
 まま、とりあえず入ろうや。」

山坂の二人は促されるまま、店内に足を踏み入れた。

 -続-

イベント終わり

「A先生、見ましたよ。あの漫画よかったです。」

「あー、見てくれてたんすか。ありがとうございます。」

さわやかな笑顔がさらに綻んだ。

「あれはいつ頃描かれた作品なんですか?」

「え…と、もう6〜7年ぐらい前になるのかな。
 初めてつけペン使って原稿用紙に描いた漫画なんですよ。」

「今描かれてる作風とずいぶん違ってますよね。」

「もう今は描けないですね、ああゆう感じの漫画は。恥ずかしくて。」

「でね、なんでこのタイミングでその処女作を公開しようと思ったんですか?」

「なんでっていうことはないんですけど、ちょうどmixiに僕のコミュ二ティを
 つくってもらって、それでたくさんの方が参加してくれてたんですよ。
 それで、まあいろいろあったほうがいいかなと思って公開したんです。」

「その当時の作品って他にもあるんですか?」

「いくつかはあるんですけどねえ。2・3作…ぐらいかな。」

「すごいよかったんでね、他の作品も見てみたいですわ。」

「そうですか。山坂さんはHPで漫画の公開とかやらないんですか。」

「いやー、しないですね。ネットは怖いですから。
 ブログとかでもイニシャルトークですし。」

人が多いせいか、トンカ書店内の気温がぐんぐん上昇してきたため、
いったん外へ出てA先生と近況について話をさせてもらった。

こんな話をしてたらA先生、早速過去の未発表作を公開してくれてました。
この漫画もまたいいんですよ。

漫画の話もそこそこに、ラブプラスの話もしたりと、A先生の守備範囲の広さを
あらためて実感した。

あっという間に10時半をまわり、みなさん三々五々で帰り支度を始める。
残っていた参加者さんと軽く話をさせてもらって、K山さん、T花さんに挨拶をして帰った。

次回PGは年明けの2月ごろを予定されているようです。

帰り道はA室さん、Dア信夫さんと。
JRでDアさんと別れ、阪急電車ではA室さんと漫画談義に花を咲かせた。

やっぱりこう、人と話をすると自分達もがんばらないとという気持ちになる。
さっきMとパン屋の二階で話していた会話を思い出す。

「なんかこう、どんなに忙しくてもね、自分たちが好きでやってることで
 手を抜くようになったら終わりだと思うんですよ。」

山坂は漫画をがんばります。

 -了-

ミッドナイト

「…ということで、よろしければ山坂を手に取っていただけるとありがたいです。
 あと、Mくんの方からフリーペーパーの紹介がありますので。」

OからMにバトンタッチされ、ふいに視線が後方に集まる。

「えっと…あの、今日は友だちに預かり物をしてて、その
 ちょっと今配ってもらっていいですか。
 開通通信っていうフリーペーパーなんですけど。」

「へー、なんか、どんどんすすめるね〜」

「でですね、その知り合いの方が…」

「えっ、ちょっと待って、友だちなの知り合いなの、どっち?」

「いや、あのそのね、こう知人から譲り受けたものをですね…」

「え、友だちなの?知り合いなの?知人なの?何なの?」

「ですから、シドロモドロ…」

K山さんのSっ気の強い言葉攻めに遭いながらも、なんとか無事に
冊子紹介を終え、来場者からあたたかい拍手をいただく。

その後も制作物の紹介は途切れることなく続いた。

PaPで知り合ったA室さんは、新たに製本機を導入して作った「JAPAN」という漫画冊子を。

S安造形大からは数組のフリーペーパー、漫画冊子の制作者が。
コンビニにおにぎりが並んでいなかった頃のコミケ・コミティア黎明期を知る
大先輩の方や、神戸県のイベントに来た二人組と、みなさん個性的。
女子高生漫画を描いてた方の絵がとてもかわいらしかった。

前回にも来られていた花の女子大生三人組は「こいもマガジン」を引っさげて。
周りに漫画を描けたり、よく似た趣味を持つ友人が多いことはうらやましい限り。

Y本さんは自作のゲームブックとフリーペーパーを。
どちらもボリュームが半端じゃない。

Dア信夫さんの漫画が今回は多くの参加者にヒット。
人柄も柔らかくていいキャラしてました。

出版処Tんてるさんは、自作の文芸誌に出版コードを取得し、
Amazonで販売するなど、精力的な出版姿勢が印象的だった。

N町さんはフリーペーパーの号外を。号外だからか、タイトルがちょっと変わってました。

ペーパーの紹介はなかったけれど、H山くんも「ゲームのはなし」の7号をこっそり置いてました。

各自の紹介が終わってそれぞれの交流の時間になると、ざわざわとみんな
K山さんの近くあたりで談笑の時間になる。

ここで翌日に同窓会を控えたMが早々の退場。
ミッドナイトなんたらというかっこいい名前の汽車に乗って帰るようだ。

途中まで見送って帰ってくると、なんかもう輪の中に入りにくい感じだったので
後方のソファー付近で、A先生、O村さんらと軽く立ち話をしていた。

A先生とドラクエ9でゾーマの地図を貰ったのなんだのと、
少年のような会話を繰り広げていると、

「Aさんたちは、前でみんなと話とかしなくていいの?」

O村さんのあどけない質問が、人見知り二人の胸に突き刺さった。

 -続-

DONQ三宮本店

「PG(パブリッシュゴッコの略)までまだ時間があるから
 ちょっとどっか座って打ち合わせでもしようか。」

「そうですね、喫茶店なんか近くにあったら…あ、ほら
 あそこに珈琲の○○ありますやん、あそこ行きましょう。」

「そうやな…あー、でもここアレやわ。スイーツは充実してるけど
 軽食が全然ないわ。スパゲッティとかあったらいいんやけど。」

「なんか食べたいんすかOさん。僕は飲むもんだけで十分なんすけど。」

「んー、まあせっかく座るんやし。」

「Oさんね、苦言を呈すようですがね。例えばですよ、こういう時に
 こっそりカバンの中におにぎりか何かを忍ばせておいて食べるとか
 そういう発想はないわけですか。」

「いや、ないこたないけど、それどこで食べるのよ。」

わりと出先で食事を摂る摂らないでモメる山坂の二人。
今回はパン屋の2階が喫茶スペースになっているお店で
打ち合わせをすることに落ち着いた。

閉店時間が8時ということで打ち合わせのリミットはあと45分。
運ばれてきたサンドイッチと飲み物を手早く片付ける。

山坂4号用の合作進行チェック、次回土地のイメージ確認、意思疎通
などなどテキパキと済ませ、4コマ漫画の制作に入る。

最近は打ち合わせ時に二人で一コマずつコマを埋めていく
リレー形式の4コマ漫画を作ることにしている。

アドリブで描いていくので頭の体操になるし、何より始めたものが
短時間のうちに完結できるというのも気分がいいし、
そうやってできたものが貯まっていくのも魅力のひとつ。

「よし、こんなもんでしょう。」

「そうですね、これに関しては良いとか悪いとかないですもんね。
 何か自分たちの手を離れているというか。」

時間前にお店を出て、NHKなどの話をしながらトンカ書店へ。
8時20分過ぎ、店内にはイベント参加者が集まり始めていた。

いつもの定位置(Oは前方のシートに座り、Mは後方でスタンディング)に
ポジショニングをし、イベント開始を待つ。

会場は超満員。

K山さんの挨拶から始まり、イベントの諸注意(空調とかトイレのこと)があって
なぜか今回K山さんが電車の中で思いついた時事ネタ落語を披露。

会場が温まったところでK山さんが動く。

「えーと、この後だとだいぶやりやすくなったと思うけど、あ、でも
 逆にやりづらいかもしんない。え…と、じゃあ今日持ってきた人で
 発表したい人…挙手でお願いします。

 なかなかね、手を挙げづらいとは思うんですけど、どうしようかな。
 じゃあ、はい、後ろの山坂さん。」

おそらくMと目が合ったK山さんがご指名。
ここまでは、想定の範囲内なんですよ。

 -続-

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山坂ヨサンセン

Author:山坂ヨサンセン
自費出版漫画家

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■漫画雑誌 「山坂」 第三号     9月9日発行                ■次回 漫画雑誌「山坂」第四号  来春発行に向け鋭意作成中

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